Aki's Diary

日々の生活で思ったことなど

送致罪名と起訴罪名

1.両者の乖離

 送致罪名と起訴罪名とは,必ずしも一致するとは限らない。

 まず,起訴状には被告人の氏名その他これを特定するに足りる事項のほか(刑訴256条2項1号),公訴事実及び罪名を記載することを要し(同項2号・3号),「公訴事実は,訴因を明示してこれを記載しなければならない」(同条3項前段)。

 そして,訴因の設定に際しては,「【送致事実・送致罪名は検討の一助にとどめ】,成立し得る他の犯罪も検討した上,事案の実体に即した訴因を構成することが重要である。その際には,被害の実体,実質的な被害者は誰か,犯人の目的・実質的利得等に着目するとともに,成立しうる犯罪の軽重,立証の難易等を考慮する」(司法研修所検察教官室『検察終局処分起案の考え方(平成28年版)』(以下『考え方』)19頁。【】部分はブログ作者)。


2.原因

 送致罪名と起訴罪名とが異なったものとなる契機としては,(捜査機関側の判断ミスを除くと)主に次の2つが考えられる。

(1)時の経過による事実の変化

│ケース1:結果発生│

 傷害の罪名で送致され,引き続き勾留されたが,勾留期間中に,被疑者の傷害を原因として被害者が死亡した場合。

(2)捜査の進行による事実の判明

│ケース2:新事実の判明│

 業務上横領の罪名で送致され,引き続き勾留されたが,その後の捜査により,横領行為の数日前に被疑者には配置転換があり,横領した物の管理・保管権限を喪失していたことが判明した場合。

│ケース3:共犯者の出現│

 窃盗の罪名で送致され,引き続き勾留されたが,その後の捜査により,窃取されたとされる被害品について管理・保管権限を有する者が背後におり,この者と共犯関係にあることが判明した場合。


3.小括

 「送致罪名は検討の一助にとどめ」る,という当たり前のことを一般論として認識するのみならず,その理由を探求することで,今後の判断ミスを防止することに役立てたい。


4.追記

 「終局処分の処理罪名が送致罪名と異なる場合,検察終局処分起案においては,まずは,終局処分の処理罪名となっている犯罪の成立要件が満たされているかどうかという観点から検討を加えて論述する。併せて送致罪名となっている犯罪を処理罪名としなかった理由も明らかにする必要があるが,この点については,『その他犯罪の正否』の項において論じるのが一般的といえよう」(考え方26頁)。